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Before Green Gables

1410407047Before Green Gables (The Prequel to Anne of Green Gables)
Budge Wilson
Thorndike Pr 2008-05-16

by G-Tools

"Anne of Green Gables"は、孤児院から男の子を連れてきて欲しいと頼んだマリラとマシューのもとへ、間違ってアンが到着するところからストーリーが始まります。

「赤毛のアン」生誕100周年の記念で出版された、この小説はそれ以前のアンについてのお話です。
フィクションの世界のまたフィクション。それも熱烈なファンの多いアンの世界ですから、今まで誰も触れることのできなかった領域ですよね。100周年を記念して、モンゴメリーの子孫にも承認済みの一冊が誕生しました。


この間違いを正すために、スペンサー婦人のもとへマリラがアンを連れ、馬車で向かいます。
その道中、マリラに自分のことを話すようにと言われアンは、最初「想像した自分のことでいい?」と尋ねていましたね。つらい過去の話はしたくなかったのです。

マリラにうながされ、「想像」ではなく簡潔に自分の生い立ちを話すアンの話は第5章に収められています。5章を読めば、"Before Green Gables"のあらすじがすべて書いてあるわけです。一度でもアンを読んだ事がある読者はぼんやりとでもアンの過去を覚えているはず。私は、この本を読む前と読みながらおさらいで第5章を読み直しました。

ですから、読者は結末を知っているわけで、この後どうなるかハラハラしながら読む視点ではなく、それぞれの出来事がどのような過程を経て起こり、アンにどんな影響を与えていったかを、一緒に追体験してゆくような感じです。

アンの両親が愛し合い、つつましく生活している様子はO・ヘンリの「賢者の贈りもの」のような世界。確か3巻くらいでしたでしょうか、(違ってたらごめんなさい)アンが自分が生まれた黄色い家を訪ねたことがありましたよね。そのとき、自分は愛し合っている夫婦のもとで愛情をかけられて生まれてきたんだと分かる部分がありましたが、読者はそれを時空をさかのぼって体験できるわけです。

暗い子供時代をすごしたアンですが、そんな中でもアンの人格形成に影響を与える人物との出会い、別れが詰まっています。
両親にしろ、出会った大人たちにしろ、アンに愛情を感じてくれた大人が存在していたという事実には
静かな感動を覚えたし、癒されるような気がしました。それがこの辛いアンの物語の陽だまりの部分でした。

アンを引き取ることになったのは、アル中の父親だったり、生活に疲れた母親だったり、欠陥だらけの大人たち。
子供が読むと、きっとこの大人たちは悪者にしか見えないのだろうけれど、不器用に人生でもがいている大人たちを、ただ責めることはできない悲しみも覚えながら読んでいました。
マリラがアンに預かってくれていた大人たちは親切だったかと聞いた時のアンの答えも今となっては印象的です。
そうしようと努めてはいたんだって言ってましたよね。だから責めることはできないって。


また本作品ではアンが孤児でほとんど学校へも通っていないのに、どうしてあんなに語彙が豊富なのか、詩を暗誦したりできるのか、そんなアンの秘密が解き明かされる快感も味わえます。
アンシリーズにところどころ散りばめられていたそんな過去の出来事が見事につじつまが合うようにできているのです。

孤児のアンが11年間通り抜けた人生は平坦なものではありません。
でも、いつでも希望を持ち、学ぶことを楽しみ、自然を愛しみ、生きることに強い情熱を持っていた少女の姿にはこちらも元気が出てきますね。

10代の頃から親しんで、今でも大好きな本だから、今さらつけ足しみたいな作り話を読むのは、好きな話だけに恐いような気もしますよね。


でも、大丈夫です。読み終わった今、アンの世界がまた一段と深くなったような、欠けてた部分を足してもらえたような気がしてます。

週末にCBCの番組でモンゴメリーのお孫さんとこの本の作者が5分ほど出演していました。
作者のBudge Wilsonさん、この話を書くの、それはそれは不安で恐ろしかったわといってました。

アン崇拝者の間ではきっと賛否両論分かれるのかもしれないけれど、私は大満足!でしたよ。
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